Miles Davis ‎– My Funny Valentine 甘くない。超ビターな緊張感に痺れる名演。

 1965年ニューヨーク、リンカーン・センターのフィルハーモニック・ホールでのライブ録音、この日のライブを2枚に分けてリリースされた内の1枚です。タイトルは「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」ですから甘いジャズとお思いきやそうではなく超ビター。クールで雑音を気にしない、圧倒的なカッコよさ、孤独なボス、マイルスの心の内は、きっと誰にも解らないのでしょう。
 

Miles Davis ‎– My Funny Valentine
 

 メンバーは新入りテナーのジョージ・コールマン、安定と信頼のロン・カーターとトニー・ウイリアムスのバックに、ハービー・ハンコックのピアノが特に冴え渡っていてマイルスをこの上なくフォローしています。この時のマイルスを一番解っていたのはハンコックなのではないでしょうか。そう感じます。
 

 録音は大ホールなのでとても広く、観客の拍手や歓声も遠い。ジャズは中箱が一番合うとは思いますが、これは別ですね。空間が大きい分、シンプルで無限大なマイルスの表現したかったモードがとても活きて聴こえます。究極に無駄を省いた洗練されたメロディとスケールが。

この日に録音されたこのアルバム「My Funny Valentine」と「Four & More」はトランペットしては史上最高の演奏でしょう。常に時代を切り開いていくマイルスですが、演者としては最高潮の時期ではないでしょうか。
 
このライブを体感した方が心底羨ましくてしょうがないです。B面1曲目にイエー!と誰かの叫び声が録音にのっていますが、自分も気持ちは一緒。邪魔だけど憎めない、時代を超えて共感してしまう自分が面白いです。w

Miles Davis ‎- My Funny Valentine
マイルス・デイビス – マイ・ファニー・ヴァレンタイン

 Columbia 

  1. My Funny Valentine
  2. All Of You
  3. Stella By Starlight
  4. All Blues
  5. I Thought About You

Miles Davis (tp)
George Coleman (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

Produced by Teo Macero

Recorded 1964.2.12 At Philharmonic Hall, New York

Miles Davis ‎– My Funny Valentine

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この記事を書いた人

海と山と畑に囲まれて、糸島の片隅で音楽を聴いています。中古オーディオとレコードの買取、整備、販売を仕事としています。

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