JBL 4344 | エッジ交換、再塗装、位相について

JBL 4344

JBL 4344 スピーカー 福岡県小郡市にて買い取らせて頂きました。

こちらワンオーナー品で当時新品で購入されたようですが、10年以上も使われず部屋に置きっぱなしだったようで、全体的に薄汚れがあり、エッジは朽ちてボロボロになっております。取り急ぎアンプを繋いで音を鳴らしてみたら各ユニット鳴ってはいるようですので、エッジを交換すれば蘇ってくれそうです。ついでに折角なので、全体的に研磨再塗装、クリーニングして、気持ちよく次のオーナー様にお渡ししたいと思います。

目次

エッジの交換

ユニットの取り外し

まずはユニットを取り外していきます。構成は、2405、2421B+2307+2308、2122H、2235H なので、1982年~1983年まで発売のトゥイーターとミッドハイがアルニコマグネットの初期型。

中古品でよくあるのが、ユニットが別のものに交換されていたり、配線やネットワークが改造されていたりですが、こちらはユニットを外したのも初、全て手付かずオリジナル。

2235H(ウーファー)のエッジ交換

2235Hのエッジの交換をしていきます。オリジナルサウンドはキープしたいので、エッジの素材はやはりウレタンで。ガスケットは後でまた元に戻すので、カッターで綺麗に取り外し、フレームに張り付いたカスを綺麗に取り除きます。コーン紙の裏に付いた古いウレタンも固く絞った布で拭いて綺麗にしていきます。

新しいエッジを仮組みして、問題ないようであればボンドをつけ、素早く接着。

2122H(ミッドバス)のエッジ交換

2122Hも同じく作業。カスの取り除きには彫刻刀が使いやすいです。

ユニット全体を拭いてクリーニングして、エッジ交換作業終了。

エンクロージャーの研磨、オイル塗装

次はエンクロージャーを綺麗にしていきます。
パッと見は綺麗な印象ですが少し傷があります。天面は何かを乗せていたようで傷が目立ちますね。全体的な色褪せや所々シミもあります。

研磨して傷消し、木地調整

養生をして電動サンダーでざっと傷が見えなくなるまで削っていき、ある程度綺麗になったところで240番くらいのペーパーで木地調整を行います。

オイル塗装

綺麗に拭いたあと、定番のワトコオイル(ウォルナット)で塗装します。まずはたっぷり塗って30分ほど放置。その後ウエスでゴシゴシ余分なオイルを拭き取ります。そして1時間程乾燥させます。

次に今度は薄くオイルを塗り、400番のペーパーで研磨。余分なオイルを拭き取りまた1時間程乾燥。今回は同じ工程を番800番で繰り返し、1500番で仕上げました。時折ウェスで拭き上げながら完全に乾燥するまで2~3日かかりました。

ちなみに写真は横に倒して4面いっペんに作業しようとしてますが、普通に立てて一面ずつ作業した方が楽でうまくいきます。結局このあと立てて作業しました。。
最後にウッドワックスを薄く塗り、数日乾拭きを繰り返しながら乾燥させ、しっとり艶出し&表面を保護します。

サランネットのクリーニング、貼り直し、ロゴプレートの取付

サランネットは汚れが1番気になるところ。布を剥がして手洗いです。

洗濯

お湯と洗剤を入れたバケツに入れた瞬間茶色く濁りました。。水が濁らなくなるまで丁寧に濯ぎを繰り返して洗います。

木枠の塗装、貼り直し

木枠もスプレーで塗装します。

マスキングしてボンドで布を貼り直し。

ロゴプレートの取付

ロゴプレートは取付金具がサビサビで剥がれてしまっていたので、同等サイズのピン留め具をネットで探して数百円で購入、ボンドで定位置に取付。

背面の塗装、フロント面は拭くだけ

背面は拭いてクリーニングするだけでも良いかと思いましたが、どうも汚れが落ちきらず少し木がささくれ立っていたので、こちらもざっとペーパーで研磨して塗装することにしました。スプレーで仕上げたいところでしたが、狭い室内の環境しかないので刷毛で塗装。少し刷毛ムラが出来てしまったけどやむを得まい。フロント面は同じ青色に塗装するのは困難なので拭くだけです。

組み上げ

各パーツ整いました。組み上げます。

綺麗になりました。

音出しチェック、位相について

ようやく音出しです。信号音にて各ユニットのチェック。異常なく一安心。

各ユニットの位相確認

位相もチェックします。元々ミッドバスだけ逆相になってるとか、ウファーだけ逆相とか、そもそも全体が逆相だからく黒と赤の端子は逆で接続しなければならないとか、ネットで位相についての論議がいろいろとされていますが、この際どうなっていて何が1番良いのかハッキリさせたいと思います。方法はズバリ位相計で機械を使って測定です。便利な時代です。

トゥイーター(2405):逆相
ミッドハイ(2421B):逆相
ミッドバス(2122H):逆相
ウーファー(2235H):正相

なるほど~、まず全体が逆相ですね。でもこのスピーカー2台だけ鳴らすのであれば、逆に繋ぐ必要はないですね。黒は黒に、赤は赤に繋ぐのが正しいですかね。そう作られているので。逆に繋いでも音は一緒です。

問題はウーファーだけ他のユニットと逆というところ。では反対に繋ぐとどうなるのか、、繋ぎ変えて聴いてみました。低音の回り込み、量感が減り、アタック感が増しました。どうやら鳴らす部屋、環境次第で全然表情は変わりそうです。位相切り替えスイッチが付いてれば気軽に聴き比べて試せるのに。

ついでにミッドバスを逆に繋ぐと良いという話も聞くので、繋ぎ変えて鳴らしてみました。これまたなるほど~でした。特定の周波数帯だけかもしれませんが、フォーカスが合い、少しそれぞれの音の輪郭が明瞭になった気がします。各ユニットの繋がりが良い分、クロスオーバー付近のスロープの角度による位相の回転で、位相が滲んだり噛み合ったりするのかもしれません。部屋の反射音の影響もありますかね。いろいろと論議が巻き起こる訳です。

ようするに、まぁ、好みですね。。ハッキリしませんでした。。w

そして内部ネットワークでは満足できない探究心のある方はマルチ(バイアンプ)で繋いで諸々調整して、4344のポテンシャルを最大限引き出す鳴らし切りを目指す訳ですね。JBLの開発側もその為の接続端子を予め用意していると。そして最終的には内部回路を介さず4wayマルチの道もあります。懐深いですねぇ。ニクイですねぇ。

エイジング

改めてオリジナルの状態に戻して、動作チェックとエッジのエイジングも兼ねて30時間程鳴らし込み。まだまだ音が硬い気がしますが、数年経過すれば柔らかくいい感じに鳴ってくれるでしょう。

たまに耳をつんざくハイ、体に直接響くミッド、部屋の角に定在波が溜まって仕方ない地鳴りのようなロー、この時代のJBLサウンドは良くも悪くも唯一無二ですね。やはりジャズやロックが良く合います。グルーヴが倍増する感あります。アンプ次第でも鳴り方が全然変わりますね。逆にこのじゃじゃ馬を大人しく繊細に鳴らす方向に調整していくのも面白いかもですね。

いろいろ考えたりしてしまいますが、改めて音楽的にもオーディオ的にも凄く柔軟で魅力的な良いスピーカーだと思いました。まず見た目がかっこいいですしね。おそらくこの先100年後もこのスピーカーは愛され続けていることでしょう。


JBL 4344

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この記事を書いた人

海と山と畑に囲まれて、糸島の片隅で音楽を聴いています。中古オーディオとレコードの買取、整備、販売を仕事としています。オーディオマニアではありません。ただの音楽好きです。

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