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メル・デイビス、J.J.ジョンソン、アービー・グリーン、マル・ウォルドロンといったジャズメンに加え、ヴァイオリン10本、チェロ、ハープ、女性コーラスなどを加えた大編成、レイ・エリス編曲による作品です。流れる美し過ぎるストリングスと彼女の晩年の嗄れた深みのある歌声がとても対照的で、より一層儚さが際立ち、言葉はわからなくても、心に染み入ります。彼女が44歳で亡くなる1年半前の1598年2月に録音。最後の作品から2番目の作品です。
全盛期の魅力を失ったボロボロの声だとか、音程を維持できていないだとか、そういったことは無視して、音楽の感動や説得力はそういったものを超える何かで出来ているというのがよく分かる作品です。もちろん波乱万丈な人生経験が滲み出ているのは確かではあると思いますが、可哀想とか悲しいとか、本人はそういった背景を考えながら聴いて欲しくて歌った訳ではないと思いますし、歌詞を改めてじっくり見ると分かりますが、この作品はただただ様々な愛に溢れています。
彼女の人生についてはウィキペディアにも詳しく書いてあります。自伝の本もありますし(実はフィクションで本人は一度も読んでいない?)、1972年にダイアナ・ロス主演で映画化もされていたりします(国内未発売)。しかしそこには多分に脚色もあるでしょう。はたして真実かどうかはわからないものです。ですが、レコードを再生して流れる彼女の素晴らしい歌声は紛れもない真実です。それだけでいいのかなと。
なんて言いながらも、今度映画化されたら必ず見ますけどね。2018年6月のニュースで「大統領の執事の涙」等の作品で知られるリー・ダニエルズ監督がビリー・ホリデイの伝記映画の制作を検討しているという話がありました。すごい楽しみにしてますけどね。
Billie Holiday – Lady In Satin
ビリー・ホリデイ – レディ・イン・サテン
Columbia
- I’m A Fool To Want You
- For Heaven’s Sake
- You Don’t Know What Love Is
- I Get Along Without You Very Well
- For All We Know
- Violets For Your Furs
- You’ve Changed
- It’s Easy To Remember
- But Beautiful
- Glad To Be Unhappy
- I’ll Be Around
- The End Of A Love Affair
Billie Holiday (vo)
Mel Davis (tp)
J.J. Johnson (tb)
Urbie Green (tb)
Mal Waldron (p)
Milt Hinton (b)
Osie Johnson (ds)
Arranged by Ray Ellis
Produced by Irving Townsend
Recorded by Fred Plaut
Recorded 1958.2.19-21