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1958年、キャノンボール・アダレイの名義で発表されたアルバムです。でも実は影の実質的なリーダーはマイルス・デイビスなのです。自らメンバーを集め、リハーサルから本番まで皆のスケジュールを調整して、録音に臨んだそうです。苦しかった時代の恩返しの為に。
というのも1950年台に入ってからマイルスは麻薬中毒の為レコーディングが出来ない状態に陥ってしまうことがあったそうなのですが、そんな時に救いの手を差し伸べたのはアルフレッド・ライオンでした。そして、彼のサポートにより1952年より年一回ブルーノートに録音を残すことになります。ですが1955年にマイルスは大手コロンビアと長期の専属契約をしてしまいます。なのでブルーノートからはマイルス名義でのアルバムをリリース出来なくなってしまいます。そこで考えたのがキャノンボール・アダレイの作品としてアルバムを制作する事でした。
1曲目は”Autumn Leaves”「枯葉」です。ジャズのスタンダード中のスタンダードになっていますが、シャンソンの世界からジャズへ持ってきたのはこの録音でした。マイルスの微妙なズレや揺らぎがたまりませんね。ハンク・ジョーンズのピアノの素晴らしいです。ベースのサム・ジョーンズとアート・ブレイキーも凄く落ち着いていて良いです。マイルスが全体をコントロールしているのでしょうね。後半のキャノンボール・アダレイのソロも素晴らしいです。
ちなみに、ジャケットの一番右下には「MILES DAVIS PERFORMS BY COURTESY OF COLUMBIA RECORD」と書かれております。マイルスの演奏はコロンビアの好意によるものという事。そしてこの録音のマスターテープにはアルフレッド・ライオンの字で「Miles Davis Session」とはっきりと書かれているようです。見たいですね。
Cannonball Adderley – Somethin’ Else
キャノンボール・アダレイ – サムシン・エルス
Blue Note
- Autumn Leaves
- Love For Sale
- Somethin’ Else
- One For The Daddy-O
- Dancing In The Dark
Miles Davis (tp)
Julian “Cannonball”Adderley (ts)
Hank Jones (p)
Sam Jones (b)
Art Blakey (ds)
Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded 1958.3.9