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時代は第二次世界大戦後、まだまだ世界的に激動の時代でありました。ビル・エヴァンスも51年に徴兵され54年まで兵役を努めます。ジャズで言えば、ビ・バップからハード・バップへの移行期でした。55年にニューヨークへ進出後、56年にリバーサイドと契約。タイトルにあるように「New Jazz 」”新しいジャズの概念”として、初のリーダー作を吹き込みました。
既にこの時ビル・エヴァンスの独創性は健在で、独特のリズム感とソフトで芯のあるタッチ、ハーモニーの作り方、一曲目をかけた瞬間に彼とわかります。でもこの作品で面白いのは、後の作品で全開となる彼の個性が見え隠れしているところ。パド・パウエルや一連のバップ・ピアニストが築き上げたスタイルを踏襲しながらも、ところどころキラキラと光るように、ジャズにおけるピアノやトリオでの演奏の表現の可能性がここから一気に広がっていくような、そんなワクワク感も秘めています。
そしてその僅か数年後、そのワクワク感を察知してか、マイルス・デイビスは自身のグループに彼を加えます。当時白人を起用するということはかなり大胆な事であったようです。そして生まれたのが歴史的名盤「カインド・オブ・ブルー」。この作品はビル・エヴァンスなしでは生まれなかったでしょう。
更にその後、ベーシストの盟友スコット・ラファロとの出会いにより、それまでのピアノ・トリオの概念を打ち崩し、「ポートレイト・イン・ジャズ」「ワルツ・フォー・デビイ」などの数々の名演を残すことになるのでした。
この作品でも後の代表曲となる「ワルツ・フォー・デビイ」が聴けます。ほんの1分ちょっとのピアノ・ソロですが、とても深い愛情を感じます。
Bill Evans – New Jazz Conceptions
ビル・エヴァンス – ニュー・ジャズ・コンセプションズ
Riverside
- I Love You
- Five
- I Got It Bad And That Ain’t Good
- Conception
- Easy Living
- Displacement
- Speak Low
- Waltz for Debby
- Our Delight
- My Romance
- No Cover, No Minimum
Bill Evans (p)
Teddy Kotick (b)
Paul Motian (ds)
Produced by Bill Grauer, Orrin Keepnews
Engineered by Jack Higgins
Recorded 1957.5.23 & 28