092-325-2766
1956年録音。やや地味めな印象のあるバド・パウエル中期の名作。ヴァーヴでの最後のリーダー作です。ジャケットのデザインもすごく良いですね。
独特なコードワークが癖になるバド・パウエルの音のセンス。楽曲のグルーヴと音の芯を捉えるベースのレイ・ブラウンの演奏がとても心地良いです。ドラムのオジー・ジョンソンも控えめながらもシャープで痛快な演奏。
全体的に録音が少しモコモコしているので、故に秘めた魅力を開放しきれていないような焦れったさがありますが、逆にそれもこのアルバムの魅力の一つかも知れません。
冒頭の『When I Fall In Love』は複雑な心情を表すかのような美しく濁った音。ほんの2分程の曲ですがこのアルバムを印象付けています。バド・パウエルの魅力は何も速弾きや独特なバッキングのテクニックだけではなく、やっぱりこの時折見せるロマンチックな言葉では表しきれない複雑な心の声の表現力でしょう。
後半へいくにつれだんだんとバド・パウエル・ワールドに引き込まれていきます。
音楽にしても、このジャケットのデザインにしても、とても60年以上前に作られたものとは思えません。テクノロジーがいくら進んでも人の根幹の感性はあまり変わらないのかも知れませんね。良いと感じる事って不思議です。
The Bud Powell Trio – Blues In The Closet
バド・パウエル – ブルース・イン・ザ・クロゼット
Verve
- When I Fall In Love
- My Heart Stood Still
- Blues In The Closet
- Swinging ‘Til The Girls Come Home
- I Know That You Know
- Elogie
- Woodyn’ Ye
- I Should Care
- Now Is The Time
- I Didn’t Know What Time It Was
- Be-Bop
- Fifty-Second Street Theme
Bud Powell (p)
Ray Brown (b)
Osie Johnson (ds)
Produced by Norman Granz
Recorded 1956.9.23