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こちらは1980年発売「JBL 4301B」。フロントバッフルがブルーのフェライト。お客様より隠居後の楽しみとして収集されたレストア品ペア一式をお譲り頂きました。ありがとうございます!
バラバラですが、それぞれの状態は良さそうなので、丁寧にメンテナンスすればいい感じに仕上がりそうです。外装を研磨してオイル再塗装仕上げから、各パーツを綺麗にして組み上げていきます。
エンクロージャー
上下左右の研磨からオイル塗装
まずは箱から始めたいと思います。パッと見綺麗ですが全体的なクスミなどの経年感やスレ傷がありますので、新品同様の外観を目指して仕上げて行きたいと思います。薄い傷が見えなくなるまで、上下左右の木目面を紙やすりで削っていきます。まずは荒い目の番号で、120番、続いて240番で削ります。
木くずを拭いて、定番のワトコオイルのウォルナットを塗っていきます。まずはたっぷり全体に。塗り終わったら30分ほど待ち、ウエスで余分なオイルを軽く拭き取り、そこから1時間乾かします。
今度は薄く全体にオイルを塗り、塗り終わったらすぐに400番の耐水ペーパーで研磨し、終えたらウエスで拭き上げ、1時間乾燥。同じことを800番、1500番の耐水ペーパーで繰り返し、終えたら24時間乾燥させます。
仕上げに密猟ワックスを薄く塗り込み、30分程乾燥させ、ベタつきがなくなるまで乾拭きし、24時間乾燥。
つるつるしっとりに仕上がりました。
背面の塗装とターミナル端子の交換
背面も再塗装したいので、やすりでざっと研磨して下地作り。片側のターミナル固定板が外れていたので、ボンドで再接着&木ネジで固定しました。
つや消し黒のスプレーで薄く3回に分けて散布塗装。SANSUIの検収済シールも剥がさず綺麗にマスキングして残しました。この元の適当なシールの貼り方も趣であります。
ついでにターミナル端子はオリジナルは使い勝手が悪いので、バナナも使える新しいものに交換。(ネジで固定しているだけなので、オリジナルにすぐ戻す事も可能。)
フロント面
フロントバッフル面は、同じ青色に塗装出来る自信はないので拭くだけにしました。
内部の吸音材
内側の吸音材のグラスウールが無い状態だったのでインターネットで探して注文しました。厚さ25mmのものを少し余分に2m購入。値段は約800円と送料。思っていたより安いですね。ボンドでベタベタ貼るのは嫌だったので、タッカー(ホッチキス)で要処のみ固定しました。
サランネットの洗浄と木枠の塗装
サランネットは中古のスピーカーで一番気になるところでもあります。経年の汚れがありますので、新品に張替えも考えましたが、今回のテーマはなるべくオリジナルキープのレストアですので、布を取り外して洗濯洗剤で手洗いです。
この時にやってはならないのは木枠ごと洗ってしまう事。カラカラに乾いた木枠は一瞬で水を吸い込み腐ります。絶対に濡らしてはなりません。
木枠も軽くヤスリで研磨して、つや消し黒のスプレーで再塗装します。
布を木枠にボンドで貼り付け直し、完成。
綺麗になりました。
LE26(ツイーター)
各ユニットをメンテンナンスしていきます。ツイーターのLE26から。テープやボンドの跡で汚い状態なので綺麗にします。
コーンとコイルとスパイダーごと外れているので、丸ごとリコーンを考えておりましたが、仮組みしてみたらうまくハマったので、慎重に素早く再接着&ハンダ付け。
導通音出しチェックOK、ビビリ等なく良好でした。エッジにダンプ剤を塗り、完成。両面テープでカバーを被せます。
116H(ウファー)
次にエッジが劣化して無くなっているウファーの116H。まずはエッジの張替えの為に綺麗にしていくところから。まず後でまた再利用するガスケットをカッターで慎重に剥がします。そして付着したボンド跡を綺麗に削ります。ボイスコイルのギャップのゴミや鉄粉も綺麗に取り除きます。
コーン側も少しだけ濡らしたウエスでエッジのカスを取り除きます。
綺麗になったところで新しいウレタンエッジと全体を仮組み。ボイスコイルタッチもなく良好。導通も問題なし。一安心です。ど真ん中に接着すれば良い状態だったので、素早く手際よく丁寧に接着します。最後にリード線をハンダ付けします。
ネットワーク
ネットワークの状態は良し。アッテネーターにガリもなし。オリジナルパーツを継続利用します。コンデンサはあやしいですが後で交換は可能なので、とりあえず配線なども何も変えません。拭いてクリーニングのみ。
各パーツが整いました。
各パーツを組み上げる
いよいよエンクロージャーに組み込み。ネジが全て無かったのでインターネットで探して注文しました。ネジのサイズが解らず、調べるのにちょっと苦労したので、下記備忘録です。
LE26:皿木ネジ 3.1×16mm
116H:六角穴ボルト UNC #10-32山-1″
ネットワーク:皿ネジ UNC #8-32山-1″1/2
黒のネジが見つからなかったので、ネジ頭を後で黒く塗装しようかと思っておりましたが、はめて見たらシルバーに光っている方がかっこいいかもと思ってそのままにしました。
ほぼオリジナルを保ってレストア完了。いい感じ。さっそく音出し。キメ細かくまっすぐな高域、タイトで量感たっぷりな中低域、想像を遥かに超えた痛快で重厚な音。4301Bってこんなに音良かったっけ、、って思いました。w さすが名機と言われている訳です。
内部吸音材のグラスウールの厚さを後で音を聴きながら調整しようと思っていましたが、このままで良さそう。あとはエッジのエイジングが済めば、更により良くなるでしょう!楽しかった。しばらく店のリファレンススピーカーの1つとして使うことにしたいと思います。