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YAMAHA NS-20 スピーカー 福岡県東区にて出張買取させて頂きました。
前オーナー様が若い頃に無理してローンを組んで購入したそうです。長年大事にされてきたようですが、ここ数年は高齢の為に聴く機会がなくなってしまったそうで、誰か使ってくれる人がいればということで引っ越しのタイミングでご連絡を頂きました。
YAMAHA NS-20 の開発
NSとは
NSとはナチュラル・サウンドの略だって知らない人けっこういるのではないでしょうか。NS-1000Mとか10Mとか身近すぎて逆に詳しく知ろうとする機会もなかったりしますよね。こちらのスピーカーはそんなナチュラル・サウンド・スピーカーの記念すべき第1号機です。
形と素材
発売は1967年頃。調べる限りこのスピーカーには通常JA-5002が搭載されているらしいのですが、こちらに搭載されているのはJA-5001。シリアルは3桁で若いのでおそらく最初期型なのではないかと予想されます。
低域ユニットは普通の丸ではなく複雑な楕円形をしております。元々楽器メーカーとしての80年の歴史と技術が詰め込まれ、200種以上の試作とブラインドテストを繰り返しこの形に決定し制作されました。そして通常のコーン紙ではなく特殊発泡スチロール製。発泡スチロールと聞くとすぐに劣化してボロボロになりそうなイメージがありますが、耐久性は半永久的だそうです。実際実物をみて少し触ってみても少し表面が変色している程度でまるで劣化している様子がありません。すごい。しかも通常のコーン紙は破れてしまうと当然まともな音は出なくなりますが、こちらは多少穴が開いても音に影響はないそうです。!? どういう仕組みなんでしょう。
音質
この後継機のNS-15の音は過去に何度か軽く聴いたことがありますが、ちゃんとしたシステムでじっくり聴いたことがなかったので、今回改めてしっかり聴いてみました。
音を聴いて、正直、困りました。あまりに音場が豊かすぎて。フラットではないはずなのだけれど、このリアルさと説得力はいったいなんなのか。たぶん現代のスピーカーに聴き慣れていると、頭で考える良い音の定義と実際に感じる音のギャップに戸惑うでしょう。物理だけではなく心理が基準で作られています。今だからこそ改めて言えるとても革新的で自然な鳴りっぷり。少し低域のチェックをしてみたら、20~30Hzあたりの音も余裕で鳴っていました。しかもなんだか説明し辛いのですが、ボワボワとかブリブリではなくナチュラルな良い音で。
しかし、このスピーカーは大きさ故か独創的すぎた為か、はたまた当時の流行りのせいか、5~6年程で生産されなくなり、ヤマハはコンパクトでモニターライクなスピーカーの製造へと転換を図ります。現存するこのスピーカーも少なく珍品と呼ばれることもあり、形からポンせんべいとの愛称もありますが、もうちょっといい名前をつければよかったのにとも思います。w この形はグランドピアノからヒントを得たものだったらしいのに、せんべいって。w
