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50年代半ばからのジョン・コルトレーンを加えた黄金時代を築く、新生マイルス・デイヴィス・クインテットの初期の録音作品です。1955年11月16日録音、56年にプレスティッジより「Miles」としてリリースされ、63年にタイトルを「The Original Quintet (First Recording)」としてジャケット・デザインもガラッと変えて再発されたものがこちらです。オリジナルのジャケットは小川の写真が使われているので通称「小川のマイルス」として知られておりますね。
内容はスタンダード中心で、デューク・エリントンの曲から始まり、やらかいミュートのソロから始まります。他の作品にある緊張感はあまりなく少し緩やな雰囲気。コルトレーンのバラードセンスも垣間見えます。ガーランドの転がるピアノもいい感じ。
個々の演奏は全体としては少し地味な印象もありますが、曲も素晴らしく心地よく聴きやすい作品です。そしてこの後の大きな飛躍、続くマラソン・セッション4部作の少し前の作品として貴重な録音となりました。
この作品は当時新しいクインテットでのデビュー作として発表されましたが、実はプレスティッジと契約中なのに、マイルスは裏でギャラの高い大手のコロンビアと契約しており、この録音の20日前にこのクインテットでの初録音をしておりました。プレスティッジ契約終了後にリリースされる事になる「Round About Midnight」がその演奏です。
そして大手コロンビアへの移籍によりマイルスの知名度は一気に上がっていくわけですが、そのプレスティッジ契約終了直前にまだアルバムを作る約束が残っていた為、56年の5月11日と10月26日の僅か2日間のセッションで、しかも殆ど一発録りでアルバム4枚分の録音を行います。その”マラソン・セッション4部作”がジャズ史に刻む大名盤になるのです。
色々な偶然や思惑が思わぬ歴史を生んでいったのですね。
Miles Davis – The Original Quintet (First Recording)
マイルス・デイヴィス – オリジナル・クインテット(ファースト・レコーディング)
Prestige Recorded November 16, 1955.
- Just Squeeze Me
- There Is No Greater Love
- How Am I To Know?
- S’posin
- The Theme
- Stablemates
Miles Davis (tp)
John Coltrane (ts)
Red Garland (p)
Paul Chambers (b)
Philly Joe Jones (ds)
Supervised by Robert Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded 1955.11.16