とにかく音が良し。とても緻密な録音とバランス。エンジニアの腕が凄い。彼女の歌は口元まで見えるようなリアルさがあり、ストリングは艷やかなだけでなく、弓で弦を滑る音も表現され、ドラムやパーカッションはタッチのザラつきがみえてくる。という訳でオーディオの音チェックのリファレンスとしても良く聴きます。
このアルバムで注目すべきは編曲のヴィンス・メンドーサ。ジョニ・ミッチェルやビョーク、エルヴィス・コステロなど数々のアルバムにも参加し、グラミー賞も多数受賞しております。それぞれの楽器を際立たせながら、奥の深いアートとも呼べる構成を組みながらも、けっして引っ掛からないスッと聴ける心地よい曲に出来上がっています。12曲目はボーナストラックではありますが、アレンジ違いのストリングスなんか、そうくるのか~という感じ。そしてプロデューサーに巨匠ラリー・クライン。彼女の曲作りのセンス、セクシーさを最大限引き出しているかと思います。
彼女は1985年生まれ、フィラデルフィア出身。十代の頃はピアノバーであるバイトしており、19歳の時に自転車で車に跳ねられ、重症をおってしまう。後遺症の為視覚過敏になってしまい、サングラスを手放せないのはこの為らしいです。その事故後1年間の入院している際に、リハビリの為に母からギターを贈られ、少しずつ曲を書き始め、ベット際でポータブルMTRを使って録音した6曲入りのEPを2005年に発表。そして彼女の音楽はたちまち話題になり、2009年にラリー・クラインと出会い。このアルバムが作られる事になるのです。この時まだ24歳ですが、彼女の魅力のある歌声はそんな経緯もあってか、深いです。
Melody Gardot - My One And Only Thrill
メロディ・ガルドー - マイ・ワン・アンド・オンリー・スリル
Verve
- Baby I’m A Fool
- If The Stars Were Mine
- Who Will Comfort Me
- Your Heart Is As Black As Night
- Lover Undercover
- Our Love Is Easy
- Les Etoiles
- The Rain
- My One And Only Thrill
- Deep Within’ The Corners Of My Mind
- Over The Rainbow
- If The Stars Were Mine (Orchestral Version)
- oooo
- oooo
Melody Gardot (vo,gt,p)
Produced by Larry Klein
Released 2009.3.16