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タイトルの「Another Opus」はミルト・ジャクソンの名盤「Opus de Jazz」を意識して、対抗するべく?付けられました。しかもメンバーもほぼ一緒で、フランク・ウェス、ハンク・ジョーンズ、エディ・ジョーンズと、ドラムだけケニー・クラークが渡欧してしまったので、ガス・ジョンソン。この布陣に加えて5曲中3曲が自身の作曲ですので、この作品に対する本人の意気込みは相当なものだったでしょう。
ウィンチェスターは1928年フィラデルフィア生まれ。元々は警察官をしており、趣味で地元のクラブでヴィブラフォンを演奏していたそうですが、ジャズ評論家のレナード・フェザーの目にとまり、1958年のニューポート・ジャズ祭に出演したことがきっかけで本格的にプロへの道へ進みます。
しかし1960年録音のこのアルバムのセッションの7ヶ月後に、出演中のクラブでロシアン・ルーレットで短い生涯を閉じてしまいます。活動期間は僅か3年程でした。せっかくこの作品を世に出しこれからという時に残念ですね。
もしこの後も活躍していたら、ミルト・ジャクソンだけでなく、新主流派のボビー・ハッチャーソン等にも大きく影響を与える存在になっていたとも言われております。
それにしてもロシアン・ルーレットだなんて、トリックがうまくいかなかった事故とも、暴発ともいわれておりますが、まるで映画のような世界が現実にあったんですね。しかも元警察官なのに。長生きしてもらいたかったですね。
さておき、ジャケットのデザインも演奏も素晴らしいです。挑戦的なタイトルに反して、とても穏やかでソウルフルでブルージー。そしてウェスの優しいフルートの音色も相まって、爽やかで心地よい作品です。
Lem Winchester – Another Opus
レム・ウィンチェスター – アナザー・オーパス
Prestige/New Jazz/Status
- Another Opus
- Blues Prayer
- The Meetin’
- Like Someone In Love
- Both Barrels
Lem Winchester (vib)
Frank Wess (fl)
Hank Jones (p)
Eddie Jones (b)
Gus Johnson (ds)
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded 1960.6.4