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ケニー・ドリューは1961年にパリに渡り、1964年からはデンマークのコペンハーゲンに拠点を移します。ジャズを芸術として捉えるヨーロッパの方がアメリカより気質があっていたのかもしれません。
こちらの作品は名門スティープルチェイスより1973年にリリースした渡欧後初期のピアノ・ソロ作品。リリカルでとても美しい演奏です。
元々ケニーのピアノはバド・パウエルの流れをくむバップ・スタイルの演奏でしたが、ヨーロッパに渡ってからは心境の変化もあったのでしょう。跳ねるような勢いのあるタッチから、優しくエレガントなタッチになりました。国の風土は音にも影響するものなのですね。
でもどこかアーシーなジャズの雰囲気はしっかり健在なので、個性が変ったという感じではなく、より美しく繊細なフレーバーが加わったイメージ。独特な魅力がありますね。
この当時ソロ・ピアノのブームがあったようで、キース・ジャレットやチック・コリアなどもソロ作品をリリースしております。ケニーのピアノは彼らのような強い印象や派手さはありませんが、この素敵なジャケットと同じように、素朴な響きの中にも流石のセンスが光っています。
Kenny Drew – Everything I Love
ケニー・ドリュー – エヴリシング・アイ・ラヴ
SteepleChase
- Sunset
- Portrait Of Mariann
- Blues For Nils
- Yesterdays
- Everything I Love
- Winter Flower
- Fall
- I Can’t Get Started
- Don’t Explain
Kenny Drew (p)
Produced, Engineered by Nils Winther
Recorded 1973.10 & 11