このアルバムは1956年のカフェ・ボヘミアでのライブを録音した作品。ジャズ・メッセンジャーズを退団た後にドーハムが初めて持った自身のグループ、ジャズ・プロフェッツによるものです。特別熱い演奏でもなく冷たくもなく、一聴するとつまらなく感じてしまうのですが、ふっと力を抜く事を忘れていたなど、この演奏はとても沁みます。
ギターにケニー・バレルが参加していることも見逃せないですね。ギターが入ると全体がマイルドになる感がありますが、この作品はよりアクセントとなって哀愁を際立たせております。テナーサックスのJ.R.モンテローズは白人ですがドーハムとの相性はバッチリです。
そんなこのアルバムは実は、アルフレッド・ライオンがルディ・ヴァン・ゲルダー1人を引き連れ、マイクと小型のテープデッキで録音されたもの。決して作り込まれたミックスではなく、そのままの空気を収めています。それ故にタイムスリップしてその客席に自分がいるかのような錯覚を感じる事のできる、特別な盤の一つと言えると思います。
ケニー・ドーハムは1924年テキサス州出身、数々のビックバンドでの活動を経て40年代後半にはマイルスに変わって、チャーリー・パーカー・クインテットに参加、55年にはジャズ・メッセンジャーの初代トランペッター、そして50年代半ばにクリフォード・ブラウンの後継としてマックス・ローチ・クインテットに加わる。ビバップ~ハード・バップ全盛の時代を駆け抜けたトランペッターの1人。全盛にあってどこか控えめな印象のある彼のスタイルは逆にとても印象強いですね。
Kenny Dorham - Round About Midnight At The Cafe Bohemia
カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム
Blue Note
- Monaco
- ‘Round About Midnight
- Mexico City
- A Night In Tunesia
- Autumn In New York
- Hill’s Edge
Kenny Dorham (tp)
J.R. Monterose (ts)
Kenny Burrell (g)
Bobby Timmons (p)
Sam Jones (b)
Arthur Edgehill (ds)
Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded 1956.5.31 at The Cafe Bohemia