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10年ほどに渡ってブルーノートのアルフレッド・ライオンに録音を嘆願してようやく実現したという珍しい作品。1曲目の出だしから只者ではないことが伺えますね。普通ではないですね、時間軸を揺さぶられるというかなんというか。リズムも構成もメロディもとんでもないセンス。
ドラムは安定のマックス・ローチなので、ニコルスが崩しまくってもうまくバランスがとれているのが不思議です。自身も語っているように優れたドラマーがいないと成立しないですね。落ちそうで落ちない平均台にのっているかのよう、しかもフラフラしているだけではなく、がっつり鍵盤を叩いてくるのでピアノは打楽器でもある事を再認識させてくれます。スタイルはセロニアス・モンク近いですがよりナイーヴな感じも秘めています。
やっとこさリリースできたこの作品は1955年と1956年の録音のカップリング。この年代でこの感じはウケなかったのかもしれません。あまり評価はされず不遇の生活を送ります。そして僅か数枚の録音を残し1963年に44歳の若さで白血病により他界してしまいますので、生まれるのが早すぎたのでしょうか、もう10年後だったら違っていたかもしれません。いや、この時代にこのサウンドだからやっぱり面白いのでしょう。前衛的という言葉もうまく当てはまらない気がします。その枠にハマらない孤高のオリジナリティ故に、今なお真似することの出来ないピアニストとして再評価され歴史に名を刻む事になりました。
Herbie Nichols – Herbie Nichols Trio
ハービー・ニコルス – ハービー・ニコルス・トリオ
Blue Note
- The Gig
- House Party Starting
- Chit-Chatting
- The Lady Sings The Blues
- Terpsichore
- Spinning Song
- Query
- Wildflower
- Hangover Triangle
- Mine
Herbie Nichols (p)
Al McKibon (b) 1-5,9
Teddy Cotick (b) 6-8,10
Max Roach (ds)
Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded 1955.8.1 (1-4,9) / 1955.8.7 (5) / 1956.4.19 (6-8,10)