Herbie Hancock – The Prisioner 新婚旅行の食中毒が大きな転機に。

 1968年夏にハービーは新婚旅行のブラジルで食中毒にあい帰国が遅れ、マイルスのライブに穴をあけてしまいました。アメリカに戻ったときにはチック・コリアがピアノの椅子に座っていたといたとの説があります。。
この年にハービーは5年間在籍したマイルス・デイヴィス・クインテットを離れることになりますが、同年に書き溜めていた曲を一気に放出し、3月に録音されたのが名盤「Speak Like A Child」となります。そしてこの作品はその後に録音され、1969年にブルーノートでの最後の作品として、そしてマイルスの元を離れて初めて作ったアルバムになります。
 

Herbie Hancock - The Prisioner
 

 この作品はアルバム発表の1年前に銃弾に倒れたマーチン・ルーサー・キング牧師へのオマージュとなっています。『I Have A Dream』と『He Who Lives In Fear』は彼に捧げられた曲です。そして1曲目の『I Have A Dream』についてはまだ存命中に作曲したものだそうです。
タイトル曲でもある『The Prisoner』とは囚人の事。黒人がまだ自由を得ていない状況を音楽のパワーで訴えている。全編通してそんな悲しみと共に、立ち上がる静かな強さも根底に感じる。そんな作品です。
 

 前衛的な推し進め方は今でも聴いても古臭く感じませんね。数学的な印象も受ける11人編成を見事にまとめた構成で後のジャズ・ファンクにも通じるポスト・バップ。
ただこのジャケットは古臭いというか、イケてませんね。でも流行が何年か周期でぐるぐる廻るように、いつかはかっこよく見える時がくるのかも。

Herbie Hancock – The Prisioner
ハービー・ハンコック – ザ・プリズナー

 Blue Note 

  1. I Have A Dream
  2. The Prisoner
  3. Firewater
  4. He Who Lives In Fear
  5. Promise Of The Sun

Herbie Hancock (p,el-p)
Garnett Brown (tb)
Jerome Richardson (bcl,fl)
Joe Henderson (ts)
Tony Studd (bass tb)
Jack Jeffers (bass tb)
Hubert Laws (fl)
Johnny Coles (flh)
Romeo Penque (bcl) #3,5
Buster Williams (b)
Albert “Tootie” Heath (ds)

Produced by Duke Pearson
Recorded by Rudy Van Gelder

Recorded 1969.4.18 (2,4) / 1969.4.21 (1) / 1969.4.23 (3.5)

Herbie Hancock - The Prisioner

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この記事を書いた人

海と山と畑に囲まれて、糸島の片隅で音楽を聴いています。中古オーディオとレコードの買取、整備、販売を仕事としています。

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