Herbie Hancock – Empyrean Isles 火と光の世界へ。

 1964年の吹込み、若干24歳のハービー・ハンコックのリーダー4作目。リズム隊は当時のマイルス・デイビス黄金クインテットそのまま。
ベースはロン・カーター、ドラムはトニー・ウィリアムス、そして珍しいワン・ホーンのコルネットにはフレディ・ハバードという豪華メンバーによる、フリー・ジャズやロックへのアプローチも見せる新主流派の自由さとバランスを崩すリスクもありながら、その即興性やビートの統制に成功している素晴らしい作品です。
 

Herbie Hancock - Empyrean Isles
 

 フレディ・ハバードの演奏が際立っていますね。いつものトランペットに替えてこの作品で演奏しているのはコルネット。オーネット・コールマンやエリック・ドルフィー、ジョン・コルトレーンなどの枠にとらわれないミュージシャン達との共演を経て、得意のストレートな勢いだけでなく成熟を感じる演奏です。

そして同じく際立っているのがトニー・ウィリアムス。全体の緊張感を保って、他のメンバーのアイデアを引き出すかのように縦横無尽なドラミング。絶好調です。

そんな2人をきっちり踏み外さないように、リズムをキープしてグルーブを整えているのは安定感抜群のロン・カーター。ソロもいい感じ。

でも何よりこの作品を決定的に色付けして完成させているのは、やっぱりハービー・ハンコックでしょう。絶妙な間のバッキング、複雑だけど外さない独特の美しい和音、組み立て方がやっぱり普通じゃないですね。
マイルス・デイビスのクインテットでは出来ない事をここで爆発させているかのようにも感じます。程よい緊張感を保ったままで。
 

 このアルバムのタイトル「Empyrean Isles」は古代宇宙論でいうところの “天空の島” 。
ギリシャ語が語源で、”火と光の世界” というような意味を含んでいるようです。

Herbie Hancock – Empyrean Isles
ハービー・ハンコック – エンピリアン・アイルズ

 Blue Note 

  1. One Finger Snap
  2. Oliloqui Valley
  3. Cantaloupe Island
  4. The Egg

Herbie Hancock (p)
Freddie Hubbard (cort)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder

Recorded 1964.6.17

Herbie Hancock - Empyrean Isles

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この記事を書いた人

海と山と畑に囲まれて、糸島の片隅で音楽を聴いています。中古オーディオとレコードの買取、整備、販売を仕事としています。オーディオマニアではありません。ただの音楽好きです。

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