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1960年の吹き込み。ハンク・モブレーのリーダー8作目にして、初リーダー作10インチ『ハンク・モブレー・カルテット』以来約5年ぶりのワンホーン・カルテット作品です。こちらは当時直輸入盤として東芝EMIより販売されたLiberty盤のジャケ仕様。
6曲中4曲が自作で、ワンホーン。遺憾なくモブレーの魅力が発揮されています。爽快に吹きまくるモブレーもいいですが、特にミディアムテンポのフレージングのなめらかさが魅力的。
この後61年にマイルス・デイビス・クインテットで参加しますが、この時ジョン・コルトレーンと比較されることになり、評論家のレナード・フェザーにテナー・サックス奏者としてはミドル級チャンピオンと呼ばれ、過小評価のイメージをもたれてしまうことになったようです。確かにこの時の演奏を聴くと乗り切れていない感がありますが、そもそも天才肌のコルトレーンとミュージシャン・ライクで聴き手目線のモブレーとはスタイルが少し違う。その時の調子もあるだろうし、緊張感溢れるマイルスとの相性もあるでしょう。この作品のように気心しれたメンバーと一緒に演奏しているときこそ、モブレーの真骨頂が知れるのではないかと思います。
メンバーはケリー、チェンバース、ブレイキーと超一流揃い。少し前までジャズ・メッセンジャーズに復活していたこともあって、ブレイキーとの相性もバツグン。ケリーのコード・ワークも素晴らしい。チェンバースのリズムも活き活きしている。そんなメンバーの個性を活かしたモブレーの作曲家としての才能は素晴らしく、ハード・バップ全盛期時代の一部分はモブレーが作ったといっても過言ではないでしょう。
それにしても音楽評論家というものの存在がよくわかりません。今はインターネットがありSNSがあり、誰でも作品に対して評価感想を発信出来る時代。というよりは、食べ物の好みや、服の好みがあるように、音楽の聴き方は自由だ。自分がいいなと思えばそれが全てだ。モブレーが正当に評価されるのは没後だったという話。あまりに理不尽に感じてしまう。
とはいえ、この作品はモブレーの最高傑作の内の1枚として現代にあり続けている。あえて安っぽい表現を使うと、いつまでも色褪せない不滅の名盤。
Hank Mobley – Soul Station
ハンク・モブレー – ソウル・ステーション
Blue Note
- Remember
- This I Dig Of You
- Dig Is
- Split Feelin’s
- Soul Station
- If I Should Lose You
Hank Mobley (ts)
Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Art Blakey (ds)
Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded 1960.2.7