092-325-2766
1960年にマイルスのグループを離れ、「コルトレーン・サウンド」、「マイ・フェバリット・シングス」、そしてこちらの作品と一連のアルバムの録音をしました。タイトルはズバリ”コルトレーンがブルースを演奏する”というもの。いわゆるブルースの枠も超え、ジャズの枠も広げるような、ここでも新たな道を切り拓かんとするコルトレーンの演奏が聴けますね。
演奏はそれでいて堅苦しくなくのびのびしたブルースベースのインプロ中心。2曲目の『Blues To Bechet』と5曲目の『Mr.Syms』はコルトレーンがソプラノ・サックスを吹いているのも興味深いですね。2,3曲目はピアノ・レスという試みも面白いです。ピアノがないと枠が更に取り外されるので、よりリードが広がって登って行く感じ。エルヴィン・ジョーンズの刻みも流石冴えていて嫌味のないスリル感。スティーヴ・デイヴィスのベースがやや単調に思いますがあえての貫きかなと感じます。若干22歳のマッコイ・タイナーの演奏も素晴らしく土臭い。でもどこか前衛的でシャープなフレーズやバッキングが垣間見れるのはクリエイター・コルトレーンの影響を受けているからでしょうか。
この後コルトレーンは独自の音楽を爆発させて行く訳ですが、その過渡期とも思えるこの時期の演奏や楽曲に対する様々なアプローチが完成に導いて行くのですね。完成なのか破壊なのか、はたまたどこまでも創造なのかわかりませんけどね。
でもこの作品はこの時代に聴いてもまだ何かが新しい。ある意味完成の一つの形とも思えます。何度聴いても心地よい魅力的な作品。ジャケットのデザインも素敵です。まだ何かが新しい。
John Coltrane – Coltrane Plays The Blues
ジョン・コルトレーン – コルトレーン・プレイズ・ブルース
Atlantic
- Blues To Elvin
- Blues To Bechet
- Blues To You
- Mr. Day
- Mr. Syms
- Mr. Knight
John Coltrane (ts,ss)
McCoy Tyner (p)
Steve Davis (b)
Elvin Jones (ds)
Produced by Nesuhi Ertegun
Recorded by Tom Dowd
Recorded 1960.10